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種を蒔くひと
ドダイトスと花の種を蒔いた。黒と白の縞模様をした、少し変わった種だ。
「きっとお前も見たことあるぜ。夏に咲く黄色い大きなやつだ」
はっと思い浮かべたのは、真っ青な空の下、天に向かってしゃんと背を伸ばす小さな太陽。こんなちっぽけな種が本当にあんな大輪の花を咲かせるのだろうか。少し疑いながら、そっと種に土を被せた。
水をたっぷり遣り、後は芽が出るまで待つだけだと言う。それだけで大丈夫なのだろうか。どうしても気になって、一日に何度も何度も様子を伺いにきてしまう。
「そろそろか」
数日経っても顔を出さない新芽に焦れったくなり思わず呟いた。すると彼はくつくつと笑って。
「まだまだ」
その表情が眩しくて、種が植わっている筈の地面に目を向けた。
「随分とせっかちじゃねぇか」
揶揄うように問われ、むっと睨み返す。
「お前のが移ったんだ」
「そりゃ悪ぃ」
ドダイトスがあんまり楽しそうに笑うものだから、俺も目元を和らげる。
ああ、こんな時間がずっと続けばいいのにな。
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