top of page

晴れ時々曇り

 ちかり、と光が目を刺した。木陰で眠っていた筈だったが、いつの間にか太陽の角度が変わっていたらしい。瞼を閉じたまま、心地好い夢の名残に身を任せる。

 と、雲でも被ったのだろうか、ふいに光が遮られた。目を開いて首をもたげると、太陽を背にしてこちらへ降りてくる大きな影が見えた。羽音が聞こえなかったのは俺に気を遣っていたのだろう。


「……起こしてしまったか」


「いや、目は覚めてたから大丈夫だ」


「それなら良かった」


 ほっと目尻を和らげたムクホークは俺の隣に着地する。彼の翼から発せられるふわりと温かい空気に目を細める。


「いい空だったみてぇだな」


「わかるのか?」


「まぁな」


 きっぱりと答える俺に怪訝そうな表情を浮かべるムクホーク。その後ろには透き通るような青空が広がっている。

 ああ、今日もいい天気だ。

コメント


bottom of page