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君に告げる

「朝だぞ」


 起きなくていいのか。彼に声をかけると、わずかに身じろぎ頭を少しもたげた。そしてうわ、と大きな口を広げて欠伸をひとつ。


「ん、おはようさん」


 おはようと言いつつまだ眠気が覚めないのだろうか、丸い赤い瞳が瞼で隠れている。

 そんな彼の様子が可笑しくて、少し吹き出してしまう。


「何笑ってんだ」


「いいや、なんでも」

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