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かけら ほのか

 ガラス越しに遠ざかる仲間達の姿。名残惜しく見つめていたけれど、あっけなく人混みに紛れて消えた。

 ──ああ、そうだ。今や彼は世界チャンピオンと、そのポケモン達。一介の消防団員である自分とは、もはや違う次元にいる。

 それでも。


「またバトルしよう!」


 胸に残る温かな約束を噛み締める。

 後ろに捻っていた身体を戻し、前を向く。もう寂しくはない。大丈夫。大丈夫だ。

 ……大丈夫、だけど。

 視界が少しだけ歪んで、慌てて懐にしまっていたサングラスをかけ直す。

 夕焼けが眩しいな、なんて言い訳をして。

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