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雨待ち風

 ざあと風が強く吹き、背中の葉を揺らした。ゆっくりと進めていた脚を止め、空を見上げる。どこまでも透き通っていくような青色。


 ──今日もいい空だ。


 嬉しそうに呟く彼の声が耳の奥に蘇り、無意識に苦笑が浮かんだ。


 ──また、背中に乗せてくれないか。


 あの時、そう尋ねた声はどこか自分を責めているようだった。全く仕方のないやつだ。ひとつ、溜息をついた。どうせお前は真面目だから、俺を縛ってしまうとか考えていたんだろうな。

 ……会いに来るって、また、って言ってたじゃねぇか。それにお前は約束を破れる性格をしていないから。

 だから、待っててやるよ。

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